こゝろ
撫子は穴を掘り終え、滝さんの死体を抱え、穴に投げ込みました。
滝さんの死体は、くの字に折れて、ドスッという音を立てて落ちました。
「さ、埋めよっと……。」
撫子はスコップで、滝さんの死体に土をかけ始めました。私はそんな撫子の肩を急に後ろからワッと驚かすように、強く叩きました。
「何!?」
「撫子、もう一つ穴掘ったほうがいいんじゃない?」
私はブレザーの内ポケットから裁ちバサミを取り出しました。その裁ちバサミを見た撫子は、スコップをその辺に放り投げて、私と再び距離を取りました。
「ふふーん、そういう意味……ね……。」
撫子はすべてを悟ったようでした。でも、悟ったからと言って、私がこれから撫子にすることは、変わりません。