こゝろ





「どうしたの、優心。来ないの?」



撫子が挑発してきます。それに私は乗ってはいけません。隙を突く。これが私の戦術なのです。生き残るための術なのです。



そして、撫子もきっと私の考えに気づいているのでしょう。また、それを恐れてもいるのでしょう。



出方によって、頭をゴツン。私が気絶したところをグサリ、グサリ。撫子の戦術、生きる術はきっとこうに違いありません。



長い時間に感じました。雲が月の前を通り過ぎて、地面が明るくなったり、暗くなったりしました。私は撫子の位置を必死に目に焼き付けようとしました。



降ってきたのです。撫子の隙を突くアイデアが。



この月明り。雲に隠されると、お互いの顔がよく見えなくなることに気づきました。つまり、雲が隠されている間に、正面からサッと懐に飛び込んで、胸に裁ちバサミを突き立てればいい。



スコップは懐に飛び込まれると、扱いづらくて不便。つまり、私に勝機がありました。




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