こゝろ





でも、人は心臓を刺さなくても死ぬことはできます。



出血多量で死ねなかった私は_____いえ、きっともう死んでいるんだと思います。



死んでしまって、そして新しい命を授かり、その入れ物がまたこの身体だっただけだと思います。



その証拠に、私の身体からは何か、物凄い生命力を感じます。



生きているというより、何か黒い靄のようなものがかかっていて、不気味なはずなのに、不思議と心地がいい。



私のこゝろを黒く染めてしまったのは、あの月明かりなのかもしれません。




< 146 / 150 >

この作品をシェア

pagetop