こゝろ
Conditions to become a friend





佐久間さんが「ゲーセンにでも行かない?」と言いました。



滝さんはもちろん「行く!」と答えました。これは全員強制的にゲームセンターに行く流れです。



ゲームセンター。あんまり好きじゃないんです。音はうるさいですし、ゲームもそんなに好きじゃないですし。好きじゃないものにお金を使うくらいだったら、好きなものにお金を使う方がいいに決まっています。



でも、佐久間さんの機嫌を損ねることの方が何倍も怖いことなので、いつも渋々付いて行きます。こうしてファミレスに来るのも本当は嫌なんです。



「じゃあ一人560円かな?」



伝票を持った佐久間さんがそう言います。佐久間さんと滝さんが頼んだパフェの値段もそこに含まれています。私と日野さんはドリンクバーだけしか頼んでいないので、ドリンクバーの値段だけの方が安いんです。それを割り勘にするお二人は、本当に性根が腐っていると思います。



でも、逆らうと、怖いので渋々、財布から560円を出して、テーブルの上に置きました。



すると、日野さんが佐久間さんの持っていた伝票を取り上げました。



「私、まだ残って勉強するから、伝票大丈夫。」



その言葉で、佐久間さんと滝さんが示し合わせたかのように、嫌な顔をしたのを私は見逃しませんでした。



「あ、行かないの?」



佐久間さんの問いに日野さんは、スマホに視線を向けたまま「行かない。」ときっぱり言いました。私はそんな日野さんがカッコイイと思いました。




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