こゝろ





「あ、そう。じゃあ、560円ここに置いとくね。」



そう言って、佐久間さんと滝さんが560円をテーブルに置きました。



「ほら、優心。行くよ?」



滝さんからそう促されましたが、私の足はなぜかその場を動きませんでした。



「ごめんなさい。私も勉強しようかなって……。」



「えー? 優心も?」滝さんが露骨に嫌な顔をしました。



「なんか二人とも付き合い悪くない?」



「ごめんなさい。テストも近いですし……。」



私は日野さんの横に座って、カバンを開きました。



「そう。んじゃ、また明日ね!」



そう言って、佐久間さんと滝さんはファミレスを後にしました。どうしてこの時、佐久間さんと滝さんの反感を買うようなことをしたのか、自分でもわかりませんでした。




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