こゝろ





「優心って友達いないでしょ?」



私は驚いて、シャーペンを持った手を止めてしまいました。



「私たちは友達じゃないんでしょうか……。」



「うん、違う。」



日野さんはサラッと言いました。その言葉が私にはとてもショックでした。確かに佐久間さんや滝さんとは友達とは言えないと思います。でも、私と同じように思っていた日野さんとは友達でありたかったのです。



「違うけど、優心となら友達になってもいいなって。」



この時、日野さんのその言葉を聞いて、私は大事なあることに気づかされました。友達を作るには、まず自分が友達だと思うこと、友達のように接することが大事でした。それを端折って、友達になった気でいて、「友達じゃない。」と言われて一人でガッカリして……。そんなのは、ただの自分勝手な被害妄想にすぎません。



「それじゃあ、改めて日野さんは私と友達になってくれますか?」



「いいよ。」日野さんは私の顔を見ないで、答えました。




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