こゝろ
「えっと、560円だっけ?」
私は財布から560円を出そうとしましたが、日野さんがそれを手で制してきました。
「大丈夫。私の家、超金持ちだから。」
「でも、悪いよ……560円って大金だし……。」
「まあそれもそっか……。」すると日野さんは「うーん。」と唸って、何かをひらめいたような顔をしました。
「優心、明日の放課後暇?」
「暇……だと思う。」
「じゃあ、その560円取っておいて。そのお金でプリでも撮りに行こうよ!」
「でも、日野さん……あ、えっと……。」私は言葉に詰まりました。
「撫子……は、ゲームセンター嫌いじゃなかったっけ?」
「初めて名前で呼んでくれたね。」日野さんはさっきとはまた違った笑顔を見せました。
「ゲーセンが嫌いなわけじゃないよ。ただあいつらが嫌いなだけ。」