こゝろ
撫子とゲームセンターに行く約束をした日の3日前の放課後、私は体育館の隅にいました。
「体育館の隅」と訊いて、皆さんはどこを想像するでしょうか? 私の場合は、扉の前でしたので、扉の前を「体育館の隅」と表現することにします。
そんな体育館の隅で突っ立って、バスケの練習をしている「もやしキャプテン」こと、島原くんの練習を見ていました。
練習内容は、シュート練習。レイアップって言うんですかね? バスケは詳しくないのでよくわかりませんが、確かそういう練習だったと思います。
「ナイシュー、ナイシュー、シオー、ナイシュー、ドンマイ、ナイシュー、シオー……。」
こんな掛け声が飛び交っていました。
「ナイシュー」は、「ナイスシュート」という意味。シュートが入った時に言う掛け声です。
「シオー」は、「惜しいよ。」という意味。シュートを打って、外れてしまった時に言う掛け声です。
「ドンマイ」は、そのまま「ドンマイ」という意味。シュートを打てなかった。または、シュートを打ったけど、ボードにも当たらないほど変な方向にボールが行ってしまった時に言う掛け声です。
島原くんはこの日、10本中、4本が「ナイシュー」、5本が「シオー」で、1本が「ドンマイ」でした。
それでもキャプテンにまでなれたのには、きっと彼の人柄が大きく関係しているんだと思います。