こゝろ





「……島原くんなら大丈夫ですよ。みんなに優しいですし、逆に私が見習いたいくらいです。」



「オレを見習いたい?」今度は島原くんが驚いたような表情の顔を上げました。



「オレなんていじられキャラだよ? 最近なんかいじられが度を越して、バカにされてる感じもするし。」



「そんなことないですよ。私は島原くん、優しいと思います。だから、周りも可愛がってるだけだと思います。」



「そうかー? 今では1年生にも『もやしキャプテン』なんて呼ばれてるんだよ?」



「いいじゃないですか、『もやしキャプテン』。カッコイイですよ。」



「カッコイイ。」そう口に出した時、私は胸がとくんっと鳴りました。



「……優心ってさー。」島原くんが溜めて言いました。



「もしかしてMなの?」



「え、Mなんかじゃないですよ!」



でも、大好きな人からそう言われると、ああ、もしかしたらそうなのかもしれないと思い始めてくるので、人の気持ちというものは不思議です。




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