こゝろ
水を汲み終わって、籠を持つと、手に金具が食い込むほど重かったです。普段、これを運んでいるマネージャーさんは大変だなとつくづく思いました。
運んでくると、ちょうどシュート練習が終わったところでした。島原くんの「休憩!」の掛け声と共に、我先にと私の汲んできた水の入ったボトルにみんなが群がりました。
その中には島原くんもいます。
「優心、ありがとね。助かったよ。」
「いえいえ、そんな……。」
そんなことを言われると、恥ずかしくて、照れくさくて、キュン死にしてしまいそうです。
給水タイムが終わって、みんなが練習に戻りました。ボトルの中はほとんど空になっていて、私はまた籠にボトルを戻して、ウォータークーラーに向かい、水を汲みます。
この作業の往復……。当然、練習を見る暇なんてありません。私は島原くんを遠くで見ていたかったのですが、まあ、これはこれで島原くんに近づけた気がして、そこまで悪い気はしませんでした。