こゝろ
撫子と約束した放課後、私たちはゲームセンターのあるショッピングモールで待ち合わせをして、それから1時間ほどゲームをして遊びました。
撫子はクレーンゲームが上手くて、フィギュアやぬいぐるみを3回以内で取っていました。
あまりにも取りすぎて、これじゃ持って帰れないとのことで、私もいくつか分けてもらい、それでも余ったので、傍に居た女子中学生にあげました。
女子中学生からそのお礼にとエスカレーターを挟んで向かいにあるフードコートのかき氷屋さんの無料券を貰いました。
「ねえ、知ってる? 優心。」
「何を?」
「かき氷のシロップの味、あれ全部同じらしいよ。」
「そうなの?」
私は驚いて、撫子のブルーハワイと私のメロンとを見比べてみました。あわよくば、撫子のブルーハワイと食べ比べをしてみたかったのですが、タメ口で話すのが精一杯で、さすがにそこまでは言えませんでした。
「だから、やれメロンだの、ブルーハワイだの、あんまり関係ないらしいよ。」
「そういえば、値段も同じだもんね……。」
撫子の雑学は、佐久間さんや滝さんと一緒に居る時もたまに出ます。昨日(話が上下したので、わかりにくいとは思いますが、撫子と二人っきりでファミレスで話したあの日です。)の雑学は、「イチゴオレの着色料にはコチニールカイガラムシという虫を使っている。」というものでした。
正直、撫子の雑学には、訊かない方がよかったというものが多いように感じます。