こゝろ





「いいの?」



「いいよ。私、超金持ちだし。」



そう言って、爪楊枝でたこ焼きを一つ口の中へ放り込みました。



「熱っ……。」



頬をホフホフとさせながらたこ焼きを食べる撫子を見ていると、お腹が空いてきて、私も爪楊枝でたこ焼きを一つ、口の中に放り込みました。



「ホント、熱っ……。」



口の中に水膨れができそうなほど、熱かったたこ焼きは、確かに美味しかったです。でも、それと同時に心の底からたこ焼きの味を楽しむことができませんでした。



「撫子、そのたこ焼きいくらだった?」



「800円くらいかな。」



800円。私はまたしても撫子に借りを作ってしまったことになります。




< 52 / 150 >

この作品をシェア

pagetop