こゝろ





「まさか、優心。また800円返さなきゃとか思ってる?」



私は正直に頷きました。すると、撫子は笑って、私の頭を撫でてきました。



「別に気にしなくてもいいのに。可愛いとこあるじゃん。」



撫子に撫でられていると、何だか恥ずかしいような、くすぐったいような、そんな気持ちになります。そういえば、誰かに頭を撫でられたことは撫子と本当の意味で友達になるまでは、なかったように思います。



「でも、やっぱり悪いよ……。」



「私が食べたかったんだから、いいじゃん。」



「それなら私は食べちゃいけないかなって……。」



「優心ってホント可愛いね。」



この間も撫子は私の頭を撫で続けます。



「でも、友達ってそういうもんっしょ?」



「そうなの?」



「わかんない。私、友達居たことないから。」



そう言った撫子の表情は、少し寂し気に見えました。




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