こゝろ
それから撫子は弁当箱を持って、立ち上がりました。
「あ、そうだ。優心。今日の放課後空いてる?」
「空いてるよ、もちろん。」
「じゃあさー、私の家に来ない?」
撫子の……家に?
「別にいいけど……。」
「何? 嫌だったらこっちも別にいいんだけど。」
「いや、そういうことじゃなくて……。」
「じゃあ、どういうこと?」
私は言うかどうか迷いました。でも、相手は撫子です。撫子は今となっては、私にとって一番近い友達です。一番近い友達だから、言いたいことは何でも言いたい。そう思いました。