こゝろ
「私ね、実は誰かに家に招待されたことって初めてなんだ。」
「へえー、そうなの? まあ、私も誰かを家に呼ぶの、初めてなんだけどね。」
私は驚いて、撫子を見上げました。
「その初めてが私でいいの?」
「うん。優心ならいいよ。優心こそどうなの? 初めてお邪魔する家が私の家でいいの?」
私は……もちろん。
「撫子ならいいよ。」
「そっか。じゃあ、決まり! あ、どうせならお泊りに来ない? 明日はどうせ休みだし。着替えとか家に取りに帰って、それから来なよ? いろいろ話したいこともあるし。ね? どう?」
さっきとは打って変わって、撫子は笑顔でした。その笑顔は屈託のないもので、ゲームセンターの時に見せてくれた笑顔と同じでした。
その笑顔に私は安心して、撫子を信じることにしました。
「いいよ! じゃあ、準備して速攻行くね!」
「うん、じゃあ、例のファミレス集合で!」
それから撫子は弁当箱を持って、教室の方へ駆け出しました。しかし、すぐに踵を返して、私にこう言いつけました。