こゝろ
それから私は、撫子と一緒にDVDを観ました。口裂け女の出てくるホラー映画でした。
私は比較的、ホラー映画は好きでしたが、撫子は苦手だったようで、時々、私に飛びついてきたり、耳を塞いだりしていました。
「怖いのに、どうしてそんなDVD持ってるの?」
「確かに怖いけど、なんか観たいじゃん? こういうの。でも、一人で観るの怖いから、今までずっと観ないでいたんだ。」
「今までずっと?」
「観る機会がなくってさ。ほら、私、友達いないじゃん? 家に誰かを招待したことなくて……。だから、優心が来てくれたら観ようって決めてたんだ。」
にもかかわらず、撫子はいい場面で目を塞ぎます。これじゃ全然楽しめないじゃないかと私は思いましたが、今思えば、この映画。観ておいて正解だったなと思います。