こゝろ





「ねえ、優心。私、本当に優心のこと好きだよ?」



撫子は尚も私を困らせました。でも、撫子だって私を困らせたくてそんなことを言ってるのではないことは、私にも充分伝わっていました。



「友達としてとか、親友としてじゃなくて、恋愛感情として……ね?」



もちろん、そのことを私にはわかっていました。



「気持ち悪いよね? 大人ならまだしも、高校生で同性が好きなんてさ。」



「そんなことない!」私は思わずそう言いました。



「そんなことないよ! 撫子は気持ち悪くなんかない!」



これは私の本心でした。



「じゃあ、優心。私と付き合える? キスできる? その上も……できる?」



これには私は何も言えませんでした。




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