こゝろ
「やっぱりね。いいんだ、別に。」
撫子はソファーに深く腰掛けました。そして、天井をぼんやりと見つめていました。
「あ、そういえば、優心は島原くんのことが好きなんだよね? バスケ部キャプテンの。」
「……うん。」
「幸せだね、島原くん。優心に好かれてさ……。なんか嫉妬しちゃう……かも。」
撫子は一体どこまで私のことを好きなんでしょうか。私にはわかりませんでした。恐怖を感じました。好きも度が過ぎると、恐怖に変わってしまう。私は、この時、そのことを初めて知ることになりました。
「幸せってさあ、こう、雨上がりの陽だまりのような暖かさの中にいて、そのことには自分じゃ気づけないんだよ。島原くんもきっと気づいてない。優心が自分のことを好きなことをね。」
撫子の言う通りだと思います。
「それなのに、優心は、島原くんのこと好きで居続けるわけ? そうやって一生遠くから眺めてるわけ? それで、優心は幸せになれるわけ?」
わかりません。
「私なら、そんなことさせない。私は優心を誰よりも愛してる。少なくとも島原くんより、私の方が優心を幸せにできる。だから_____