こゝろ
「撫子……?」
撫子はそのゴミ袋を床にまき散らしました。物凄い異臭を放つ、それは生ゴミでした。卵の殻、野菜の皮やヘタ、魚の骨までありました。
「じゃあ、これ食べて。全部。」
「ちょ、ちょっと……。本気!?」
「本気よ。なんでもいいって言ったのは、優心。あんたでしょ? それとも何? お皿に入れて、食器があった方がいい?」
「そういう問題じゃ……。」
「じゃあ、食べて。」
撫子は私の髪を掴んで、撒き散らかされた生ゴミに顔を押し付けようとしてきました。私はさすがに抵抗しましたが、私の力ではとても敵いませんでした。
「早く!!!」
撫子がヒステリックに叫びます。撫子の口から聞いたこともないような声で、私は縮こまりました。生ゴミの上に涙がポタポタと落ちます。紛れもなく、私の目から出た涙でした。