こゝろ
「何泣いてるの? 痛いから? なら、髪の毛は離してあげる。離したら泣き止むでしょ?」
そう言って、乱暴に撫子は私の髪を離しました。それでも、私の涙が止まらないのを見ると、撫子の眉間に皺が寄りました。
「泣き止まないじゃない!!!」
またヒステリックに叫んで、私のお腹を思いっきり蹴りました。
「うっ……。」
呻き声を出して、私は生ゴミの上に倒れ込みました。それでも、撫子は何度も、何度もお腹を蹴ってきました。
「食べろって言ってんだよ! ほら、早く! 食べろ!!!」
何度も、何度も……。
痛くて、悲しくて、私はリンゴの皮らしきものを手を使わずに、犬猫のように四つん這いになって、口に含みました。
臭いものが口の中から鼻に湧き上がってきて、身体が拒絶してきました。胃液が込み上げてきて、私はその場に嘔吐しました。
「汚い……。でも、これは優心の中にあったものなんだね……。」
すると、撫子は私の吐瀉物を見つめて、それから思いもしなかった行動に出ました。