こゝろ
「ねえ、優心。なんでこんなことができると思う? こんなことができる理由が、優心にはわかる?」
私は何も答えられず、ただ茫然と撫子を見ることしかできませんでした。
「好きだから。優心のことが好きだからこんなこともできるの。こんなこと、島原くんができると思う? 優心のお父さん、お母さんがこんなことできると思う? 私だけ。世界で一番優心のことを想っている私にしかできないの。」
ここまで誰かに愛されたことは、私にはありませんでした。おそらく、撫子に出会わずに、この先70年生きたとしても、ここまで屈折した愛情を受けることはないと思います。
「だから、もし、優心が私みたいに生ゴミを御馳走してくれたら、私は迷わず全部食べ切るよ。それが優心の愛情なんだって思うと、喜んで。お腹を蹴られてそれが優心の愛情なら、私は喜んでそれを受け入れる。だから、優心も私の愛情を感じて、素直にそれを受け取って欲しいの。」