こゝろ
ここでの、「最悪の場合、死ぬかもね。」の意味は、撫子に殺されるという意味で、間違いないと思います。
問題は、どう殺されるかです。
物理的なものなのか、それとも間接的なものなのか。そのことを滝さんに訊いても、答えは返って来ないことをなんとなく私はわかっていました。
もし私が滝さんなら、こう答えるからです。
「どっちの意味にしろ死ぬんだから、知ったところで無駄じゃない?」
そうです。直接殺害されるにしろ、支配を苦に自殺するにしろ、結局は死ぬことに変わりはないのです。そして、死んだらもうおしまいなのです。それについて、とやかく言うことも、後悔することもできないのです。
死後の世界なんて、ないのです。死んだら、そこは光でも暗闇でもない、無なのです。