こゝろ
私は質問を変えました。
「滝さん、何か知ってるんですか?」
私はこの時、うっかり「私たちの関係について」という言葉を付け忘れていました。そのせいで、滝さんから返って来た言葉は、次のようなものでした。
「知ってるよ。撫子は、危険。中学の時、撫子と仲の良かった子が自殺してるからね。」
ここで、私は滝さんが「何か知ってるの?」の意味を履き違えていたことと、撫子が過去に友達を自殺に追いやったことがあることを知りました。
「撫子は友達を自殺させたことがあるんですか?」
「あるよ。まあ、撫子が自殺させたかどうかはわからない。遺書が残ってなかったし。でも、傍から見てたら誰だってわかるよ。あの子が撫子のせいで死んだってことは。」
「そんなに酷いことをしてたんですか? 撫子は、その子に。」
「むしろ逆。気持ち悪いくらいに、可愛がってた。まるで同性愛者みたいに、その子にぞっこんだった。その子と一言、二言会話しただけで、撫子はその子と会話した子に嫉妬してた。そして、その好きな子を束縛してた。男の束縛なんかとは比べ物にならないくらいにね。」