こゝろ





やっぱり撫子は、同性愛者だったようです。



同性愛者なのは、別にいいと思います。偏見もありません。撫子はただ、普通の人と同じように恋をしているだけなのです。



でも、その恋が行き過ぎて、時に追い詰めてしまうことがあるようです。それは、普通の恋愛、男子と女子の関係にもあることです。それが同性愛者故に、余計に異常だと思われてしまうだけなのです。



滝さんの話を聞くと、私はどこか撫子のあの行き過ぎた行為も許せる日が来るんじゃないか。対等に話ができる日が来るんじゃないかという希望を持てました。



思わず、滝さんの前で涙したほどです。



「優心、大丈夫なの? やっぱり撫子になんかされてるの?」



「あ、いえ……その……すみません。」



滝さんは私にハンカチを貸してくれました。私はそれを受け取って、なるべく面積の狭いところで涙を拭きました。



「座ろっか。」



「いえ、大丈夫……です。」



滝さんは私の肩を抱いて、ベンチに座らせてくれました。




< 98 / 150 >

この作品をシェア

pagetop