彼と私の優先順位
きっと。

高校生の頃よりも。

この短い時間に。

もっとずっと慧に惹かれていて。

気が付けばいつも頭の片隅で慧のことを考えている。



一緒にいると息苦しいくらいにドキドキして。

うまく話せない。

緊張で顔も直視できないのに。



一緒に過ごす時間は。

とても心地よくて。

ずっと傍にいたいと思ってしまう。


歪な反比例。



慧を想いすぎて、好きになりすぎてしまう。

そんな自分の気持ちが恐い。

またあの時のように、一緒にいることが。

好きでいることが、苦しくなってしまったら。

私はきっと立ち直れない……。



もしかしたら。

その時が本当に慧を諦める時なのかな。



前を向いて運転している慧の横顔は、高校生の頃の慧とは違う大人の男性で。

だけど、慧であることに変わりはなくて。

私は慧の引力に逆らえない。



慧の何を好きなのか、と聞かれてもわからない。

ハッと息を止めてしまうくらいの端正な顔立ちも長い手足も。

その低くて甘い声も優しさも。

子どもみたいに無邪気な笑顔も全部が大好きで。



……ニヶ月、なんて期間を決められなくても、私が慧を好きなことは一目瞭然で。

慧はきっと気付いている。

私がどれだけ慧を好きなのか。

ただ、踏み出せずにいる私が自分で決断することを待ってくれている。
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