彼と私の優先順位
「素敵なカーテンが見つかってよかったね」

縫製後、送付してもらう手続きの時、慧に話しかけた。



「結奈のおかげ。
ありがとう」

送付伝票を記入しながら、慧が私に視線を向ける。

「全然!
すごく楽しかった!
インテリアを選ぶのって楽しいね」

「じゃあ、将来は結奈が頑張って選んで」



ゆったりと微笑む慧に。

私の呼吸が止まりそうになる。



「え……?」

「何て顔してんの。
ちゃんと選べよ?」

再び伝票を記入する慧の横顔に慌てて尋ねる。

「ち、違っ……だって……慧?」

「高校の時も話したけど。
俺は将来、何十年先も結奈には俺の傍にいてほしいって思ってるから」

「……え」

「お嫁さんにもらうよってこと」



当たり前のように話してくれる慧に。

周囲の時が止まった。

店内のざわめきも。

何もかもが聞こえなくなって。

慧の言葉しか、耳に届かなくなる。

私の呼吸さえも止まってしまったかのように。

声が出ない。



「……だからちゃんと覚悟してて。
もう逃がさないから」

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