彼と私の優先順位
「柘植のことは本人に伝えとくね。
……また同期として皆で集まる時とか、普通に接することできそう?
柘植が気にしていたから」

言いにくそうに尋ねられて。

「うん、大丈夫。
また同期会、参加させてねって伝えて」

「わかったわ」

巴ちゃんはニッコリと微笑んだ。




「とにかく、結奈は館本さんと話した方がいいんじゃない?
……ねえ。
もしかして、なんだけど……。
巴ちゃん、この間の同期会のお店って誰が決めたの?」

「柘植と私よ、いつも通り」

「そのお店の話って誰かにした?」

「……あっ!
そういうことね……」



突然、巴ちゃんが何かを思い出したかのように大きな目を見開いた。



「そう、私、真理ちゃんに話したわ。
同期会があのお店であるって」

「溝口さんは知っていたのよ。
あくまで推測だけど……わざと不動産部の懇親会をあのお店でしたんじゃない?」

「……えっ?
何のために?」

「それはハッキリとわからないけれど。
館本さんと自分が仲良くしている姿を結奈に見せつけたかったのかも。
自分の方が館本さんをよく理解していて親密だって思わせたかったのかもしれないし」

「そうね。
でも思いがけず、柘植が結奈ちゃんに告白しちゃって、結奈ちゃんに見せつけるはずの館本さんが結奈ちゃんを助けてしまった。
だから結奈ちゃんに自分のことを知らせる機会を失っちゃって……」

「今日話しに来たのね」



千恵ちゃんが頷きながら後を続けた。

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