彼と私の優先順位
「まさか……」



私が乾いた声を出すと。



「わからないわよ?
恋は盲目って言うし。
まあ、あくまでも可能性だけれど。
もしそうなら真理ちゃんは本気ね」

「……結奈が動揺する気持ちもわかるけど、館本さんが好きなのは結奈で、今、付き合っているのも結奈でしょ?
堂々としていたらいいんじゃない?
結奈がオロオロしていたら、とられちゃうよ?」



千恵ちゃんが私を励まそうと明るく話してくれるけれど。

不安ばかりが浮かぶ。



二人に少しでも食べなきゃダメだと叱られながら、無理矢理、定食を口に押し込んで。

口の中がカラカラに乾いて、いつもは美味しくたべているチキン南蛮の味がサッパリわからなかった。



昼休みを終えて、二人と別れてフロアに戻る途中。

化粧直しと歯磨きをするために立ち寄ったお手洗いで、私はスマートフォンを取り出した。



今日会えないか、と慧にメールをした。

慧から返事は返ってこなかった。




不安を抱えながらも、営業時間は過ぎて。

ロッカールームでスマートフォンを見ると、慧からの返信があった。



慌ててメールを読むと。

今日は接待で、帰りが夜中近くになるから会えない、とのことだった。

私は小さく溜め息を吐いてスマートフォンを鞄に入れた。



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