彼と私の優先順位
「だから?
俺と結奈が付き合うことに何の関係があるの?」




興奮して話す私とは対照的にひどく冷めた口調で慧が言う。

苛々しているのか、慧の表情が険しくなる。



「真理が結奈にそんな風に話したことは知らなかった。
それは俺から真理に話す。
だけど、俺は真理に告白されたけど、断ってる。
結奈が好きだって伝えてる。
結奈以外と付き合うつもりはないってキッパリ言っている。
それじゃダメなのか?」

「ダメ、とかそういうことじゃないよ……」



慧の言っていることは正論だ。

だけど。

私の中の何かが違うと言っている。




溝口さんは本気で慧が好きなんだと思う。

だからこそ。



一度慧を傷付けて別れて。

もう一度、平然と付き合っている私が許せなくて、認められなくて。




私に宣戦布告をしにきたんだと思う。

溝口さんからしたら私は恋敵で。

慧は彼女の恋する人だ。




私に負担をかけないようにきちんと配慮してくれた慧は間違ってはいないけれど。

大事な部分が間違えていると思う。
< 151 / 207 >

この作品をシェア

pagetop