彼と私の優先順位
私は小さく首を振った。

「どうしてほしい、とかじゃないの。
溝口さんのことを最初にきちんと教えてほしかった。
関係ない、なんて言わずに。
だって私達は曲がりなりにも付き合っているし、ましてや今、溝口さんと私は仕事上で顔を合わせる関係でもあるから。
……付き合うってそういうことじゃないの?
パートナーに何かあった時はお互いが納得するまで、話し合うものじゃないの?」



一気に話す私に。

慧は少し苛立ったように話す。

「わかるよ、結奈が言ってることはわかる、けど。
俺は俺なりに考えたし。
結奈だって真理に言われたこと、すぐに話してこなかったからお互いさまだろ?」

「違うよ……!
何で溝口さんが私にキツく当たってくるのかわからなかったんだよ……!
慧が最初から溝口さんについて教えてくれていたら、そんなに考え込まなかったよ!
私だって色々悩んだよ?
慧に話そうと思った、だけど慧は仕事が忙しくて、会えなかったじゃない。
だから言えなかったんだよ!」



慧はハーッと再び、溜め息を吐いた。

「俺のせい?
……何か結奈、変わったな。
そんな風に言い返すタイプだった?」



その慧の一言が。

私の胸に真っ直ぐ刺さった。



「……どういう意味?」

自分でも驚くほどの低い声が出た。

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