彼と私の優先順位
足りなかったものは。
真っ直ぐにぶつかる気持ち。
素直に気持ちを伝える勇気。
慧が好き。
ただそれだけで良かったのに。
単純なことだったのに。
どうして私はこんなに回り道をしてしまったのだろう。
どれだけ慧を不安にさせてしまっただろう。
もうこれ以上。
自分のせいで再び慧を失いたくない。
私が考えていることがわかったのか、亜衣は満足そうに微笑んで。
脇に置いていたトートバッグを肩にかけた。
「……答え、出たみたいじゃない?」
「うん。
ありがとう、亜衣。
私……慧に気持ちをきちんと伝えてぶつかってくる。
……まだ間に合うかわからないけれど」
亜衣は立ちあがり、玄関ドアに向かう。
「善は急げって言うし、今から慧に連絡したら?
私は帰るから」
「えっ?
一緒にご飯食べようよ」
「いいわよ。
結奈の顔見てたら、今すぐ慧に会いたいって顔をしてるし。
行ってきなよ、慧のトコロ」
そう言ってベージュのサンダルを履きながら、亜衣がイタズラッ子のように笑った。
「そうだ、結奈。
イイコト教えてあげる。
奏にこの間聞いたんだけど……」
慧には内緒よ、と言いながら亜衣が私に耳打ちした。
真っ直ぐにぶつかる気持ち。
素直に気持ちを伝える勇気。
慧が好き。
ただそれだけで良かったのに。
単純なことだったのに。
どうして私はこんなに回り道をしてしまったのだろう。
どれだけ慧を不安にさせてしまっただろう。
もうこれ以上。
自分のせいで再び慧を失いたくない。
私が考えていることがわかったのか、亜衣は満足そうに微笑んで。
脇に置いていたトートバッグを肩にかけた。
「……答え、出たみたいじゃない?」
「うん。
ありがとう、亜衣。
私……慧に気持ちをきちんと伝えてぶつかってくる。
……まだ間に合うかわからないけれど」
亜衣は立ちあがり、玄関ドアに向かう。
「善は急げって言うし、今から慧に連絡したら?
私は帰るから」
「えっ?
一緒にご飯食べようよ」
「いいわよ。
結奈の顔見てたら、今すぐ慧に会いたいって顔をしてるし。
行ってきなよ、慧のトコロ」
そう言ってベージュのサンダルを履きながら、亜衣がイタズラッ子のように笑った。
「そうだ、結奈。
イイコト教えてあげる。
奏にこの間聞いたんだけど……」
慧には内緒よ、と言いながら亜衣が私に耳打ちした。