彼と私の優先順位
「……ちゃんと最初から話してよ」

小さな声で慧を見上げて反論すると、慧が困ったような表情を浮かべて。

「……だな、ごめん」



そう言って慧はゆっくりと綺麗な顔を傾けて。

私に二度目のキスをした。

「……っ」

最初のキスよりも長い二度目のキスは、私の思考と呼吸をも簡単に奪う。

唇を甘噛みするようなキスは。

私の体を一瞬で痺れさせる。

そして。

どれだけ慧を好きなのか思い知らされる。

長いキスを終えて。



「……可愛い、結奈」

考えがまとまらない私の顔を覗きこんで破顔する慧に。

私の顔はどうしようもないくらいに真っ赤に火照って。

泣き出しそうになってしまう。



その時。

「あっ、いたっ!」

私のお弁当箱を片手に、亜衣と奏くんがやってきた。

慧の腕の中にいる私を見て、亜衣と奏くんは一瞬、顔を見合わせて。

「良かったな、慧」

奏くんが慧に笑顔を向けて。

「ああ」

慧が返事をする。



私は恥ずかしくなって、真っ赤な顔のまま、バッと慧から離れた。

けれど、慧の長い腕に手首を掴まれて。

私の指に慧の指が絡まる。

「もう、本当に良かったよ。
結奈が走って出ていった時はどうしようかと思ったんだから!」

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