彼と私の優先順位
「……そんなにバレバレだった?」

お弁当を食べる手を止めて尋ねると。

二人は同時に頷いた。



「結奈は色白だから、真っ赤になったらすぐわかるの。
それにしても、その幼なじみの子……ちゃんとわかってくれたらいいんだけど」

亜衣が横に流した前髪を耳にかけながら話す。

「うん……でも、何て言うか。
勿論、嫌なんだけど、勝手かもしれないけれど……慧に私以外に彼女がいること。
だけど……その幼なじみの女の子にしたら、好きな人と離れ離れになってしまう上に、最後に一緒にいられるチャンスだったわけでしょ?
……慧も了承したわけだし。
何か……昨日の今日でそんな機会まで奪ってしまって良かったのかなあとか……考えちゃって。
でも……そんなこと考えながらも慧に二週間待つよって言えない私は……ずるいよね」

溜め息を吐く私に亜衣は力説した。

「何言ってんの、そんなの当たり前だよ!
……私が奏にそんなこと言われたら猛反対するもん。
……好きってそういうことじゃない?
自分が相手にとって一番になりたいんだよ」

亜衣の一番、という言葉が私の胸に強く響いた。



「結奈はいつも人の気持ちばかり優先しちゃうけど、これから慧は結奈の彼氏なんだし、ちゃんと主張したらいいんじゃない?」

相変わらずの落ち着いた声音で奏くんが言う。

「せっかく付き合うことになったんだから、アレコレ考えすぎずに、ね」

ポンポンと亜衣が明るく、私の肩を叩いてくれた。
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