彼と私の優先順位
約束通り。

その日の夜遅く、眠りにつく前に慧から電話があった。



きちんと話してくるから、と言われていたし、『好き』と言葉ももらったから、きっと大丈夫だって自分に言い聞かせていたけれど、夕御飯を食べている時も、お風呂に入っている時も気が気ではなかった。

いつ話をするのかな、何処でどんな風に話すのかな、今は話は終わったのかな、わかってもらえたのかな……そんなことばかりが頭をよぎる。



考えすぎたらダメだと亜衣にも言われていたし、そのことばかりを考えることはやめようと思っていた筈なのに。

ふとした拍子にモクモクと不安が頭をもたげて。

打ち消して、言い聞かせて、そんな繰り返しだった。



付き合った初日からこんな調子で大丈夫なのかな、と自信すらなくしそうだった。

亜衣だったら、こんな時はどうするんだろう……アレコレやきもきする前に自分から連絡をするのかな、と関係のないことまで考えてしまう始末。

スマートフォンと睨めっこをし続けて、慧から着信があった時には、心がヘトヘトになっていた。



「結奈?」

いつもと変わらない様子の慧の声だった。

友達でいた今日まで、慧と電話で話すことは多々あった。

その時の慧の声と変わらない、そんな印象だった。

「……うん」

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