彼と私の優先順位
電話をくれた慧。

約束を守ってくれた。



だけど。

……何故かまとわりつく不安が拭えずにいる。

幼なじみという関係は私が考える以上に特別な結び付きな気がして。

……そんな簡単に、終わる話だったのだろうか……どんな風に話して、説明して、ということをもっと詳しく教えてもらうべきだったんじゃ、と心の奥深くでもう一人の私が主張する。

そんなことを考えてしまう私は重たいのか。

かといって、幼なじみの女の子の恋に結果として横槍をいれた私が口を挟むべきではないのかもしれない。

……彼女に慧を譲ることはもうできないから。

彼女にしたら私はとんだ邪魔者だ。

状況が違えば私が彼女の立場になっていた。

慧に選んでもらえたから、と優越感に浸るつもりはない。

慧はとても気遣いが上手だし、物事を察することも長けている。

そんな慧が敢えて口にしなかったということは、話したくなかったのか……。



考え出すと本当にキリがなくて。

さっきまでの安心感や幸福感がみるみる萎んで。

どんどん自信が無くなっていく自分がいた。



「ちょっと結奈……それはその時に聞くべきでしょ」

呆れ声を出す亜衣。

悶々とした気持ちのままでいたくなくて、思わず亜衣に電話をして相談してしまった私。

「……やっぱり?」



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