彼と私の優先順位
そんな思いを抱えたまま。

高校三年生の時間は、よく言われるようにあっという間に過ぎて。

私達四人は、皆それぞれ志望大学に合格し、卒業式を終えた。



春休みに入り、私達は高校卒業と進学のお祝いで、近くにある遊園地にやってきた。

亜衣とは何回か会っていたけれど、奏くんと慧とは卒業式以来、初めて会う。



今日、この日を迎えるにあたって、私は決めていたことがある。



四人でワイワイ過ごす楽しい時間はどんどん過ぎていき。

いつの間にか晴れ渡っていた空には夕闇が迫っていた。

日中は暑いくらいだった陽射しも今はなく、代わりに少し冷たくなった風が吹いていた。



「……ね、最後に観覧車に乗らない?」

私の提案に皆が頷く。

一周するのに二十分以上かかる観覧車はこの遊園地で一番人気の乗り物だ。

乗車するのは、小さい頃に両親に連れてきてもらった時以来。

大きくなったら大好きな人と来なさいね、と両親に優しく言われたことを思い出す。



奏くんと亜衣が先に乗り込み、慧と私が次に続く。

二人で乗り込んだ車内は思っていたよりも広かった。

空調設備が整った観覧車のため、窓が閉まっているせいか、地上の喧騒が嘘のように静かだった。
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