彼と私の優先順位
再会
「紬木さん、悪いんだけど不動産部に行ってきてくれない?」
連絡用ホワイトボードに名前を書きながら、営業第一部渉外の笠井さんが私に話しかける。
「不動産部、ですか?」
支払い用伝票を探していた手を止めて、聞き返す。
「そう。
この住所の住宅地図、借りてきて欲しいんだ」
そう言って笠井さんは私に付箋を渡す。
「わかりました。
伝票処理をした後で行ってきますね」
「悪いね、よろしく」
笠井さんに微笑んで、私は自席に戻る。
ここは大阪市内にある銀行の営業フロア。
私は市内の女子大学を卒業して、この会社に就職した。
自宅からも一時間程で通える範囲だったけれど、朝の早い職業なので、この機会に大阪市内で一人暮らしをすることにした。
一人娘の一人暮らしを両親は心配していたけれど、成人もして、社会勉強だということで理解してくれた。
銀行と言うと、窓口業務のイメージが一般的には強いけれど、その業務は多岐にわたる。
現在入社三年目の私は、笠井さんをはじめとした営業第一部の渉外グループの営業補佐、といった仕事をしている。
笠井さんは私の三年先輩になる。
私は入社一年目の研修でしか窓口業務を経験せず、普段もお客様と直接折衝することはほぼない。
連絡用ホワイトボードに名前を書きながら、営業第一部渉外の笠井さんが私に話しかける。
「不動産部、ですか?」
支払い用伝票を探していた手を止めて、聞き返す。
「そう。
この住所の住宅地図、借りてきて欲しいんだ」
そう言って笠井さんは私に付箋を渡す。
「わかりました。
伝票処理をした後で行ってきますね」
「悪いね、よろしく」
笠井さんに微笑んで、私は自席に戻る。
ここは大阪市内にある銀行の営業フロア。
私は市内の女子大学を卒業して、この会社に就職した。
自宅からも一時間程で通える範囲だったけれど、朝の早い職業なので、この機会に大阪市内で一人暮らしをすることにした。
一人娘の一人暮らしを両親は心配していたけれど、成人もして、社会勉強だということで理解してくれた。
銀行と言うと、窓口業務のイメージが一般的には強いけれど、その業務は多岐にわたる。
現在入社三年目の私は、笠井さんをはじめとした営業第一部の渉外グループの営業補佐、といった仕事をしている。
笠井さんは私の三年先輩になる。
私は入社一年目の研修でしか窓口業務を経験せず、普段もお客様と直接折衝することはほぼない。