彼と私の優先順位
ニヤリと口角をあげる三橋くん。

細面の顔に幅の広い二重の持主である三橋くんは、同期の中で一番可愛らしい、と言われている。

……本人は嫌がっているけれど。



「よし、じゃあ決定。
小石川には俺から伝えておくわ。
よかった、皆、喜ぶな」

「え?
ちょっと、何?
何の話?」

慌てる私に三橋くんは、私が受け取った紙を指し示す。

「見たらわかるから。
じゃあ、俺、外回り行くわ」

ヒラヒラと手を振ってフロアを出ていく三橋くん。

ワケがわからず、手元の紙を一読する。

「……どうしよう……」



そこには同期会の案内が記載されていた。

まるで見計らったかのように、私のデスクの電話が鳴る。

この呼出し音は内線だ。



「はい、紬木です」

「結奈?
読んだ?」

名乗らず用件をストレートに伝えてくる千恵ちゃんに、私は苦笑する。

「……さっき三橋くんにもらったところだけど」

「行くわよねっ?
もう、半年以上顔を出してないんだから。
ねっ?
私、三橋と二人で行くの嫌なのよ。
すぐ飲みすぎるんだから」

本気で嫌がっている千恵ちゃんの声に。

私は溜め息を吐きつつ。

「わかった、行くよ」

渋々返事をした。



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