彼と私の優先順位
そんな毎日の中、季節は巡って。

私達は高校二年生になった。



私と奏くんは同じクラスで。

亜衣と慧は同じクラスになった。

クラスが離れた、とはいっても隣のクラスなので、体育などの合同授業は同じだった。

亜衣と奏くんは相変わらず仲良く付き合っていて。

私達は変わらず、一緒に下校していた。



私達が通う南丘高校は奈良市内にあって。

最寄り駅の学園前駅からバスで十分程の距離だ。

亜衣と私は学園前駅から自宅へと向かうバスに乗り換える。

奏くんと慧は学園前駅から電車で通学している。




梅雨入りを迎えて、ジメジメした空気が漂うある日。

朝から降っている雨は、飽きることなく降り続いていた。

六月に入り、使われ出したエアコンの空調が何故か今日は強すぎて、教室内は寒いくらいに冷えていた。



「あのさ、明日から二週間くらい先に帰って」

いつものように私を迎えに来てくれた慧が、唐突に言った。

亜衣は部活、奏くんは委員会で今日は一緒に帰宅できないことになっていた。

「……え?
どうしたの、何か用事?」



慧の言葉に戸惑う私。

明日は一緒に帰れない、とか。

短期的なものは今までも何度かあったけれど。

二週間以上といった長い期間はなくて。

何かあったのか、と心配になる。


< 8 / 207 >

この作品をシェア

pagetop