あの日から、ずっと……

 しばらくしてからの事だった……


 泰知兄ちゃんとは、時々だが廊下で会うと少し話をする事もあった。

 その時も、ちょうど昼休みになる所で、そのまま泰知と社員食堂で昼食を取ることにした。

 しかし、女子社員達の目がやたらに気になって仕方ない……


「あら、めずらしい人と一緒じゃない? 一緒にいい?」


 浅井先輩と、後ろから上原主任が顔を覗かせた。


「勿論です」


「芽衣とは、幼なじみなんですよ。上原先輩、手出さないで下さよ!」


「そうだったのか…… それじゃあ、気軽に手は出せんなぁ……」

 上原主任が軽くため息を着いた。


「当たり前です!」

 泰知が上原主任を睨んだ。


「大丈夫よ。私が監視しているから……」

 浅井先輩が、冷たい眼差しを上原主任に送った。


 「それなら安心だ……」

 泰知の言葉に、上原先輩が肩を落とし皆が笑った。



 しかし、私はどうしても周りの視線が気になってしかたない……


「どうしたの、宇佐美さん?」

 浅井先輩が心配して私の顔を覗き込んだ……


「なんか、まわりの目がきになって落ち着かないっていうか……」


「そりゃまあ、そうよね…… この会社の一番人気の吉川主任と居たら仕方ないわね……」

「えっ。主任?」

 私は驚いて泰知へ目を向けてしまった。


「知らなかったの? 吉川は皆の人気の的、エリートでしかも顏がいい! まあ、俺ほどしゃないけどな」
  

 上原主任の言葉に、驚きのあまり何も言えなかった。


 この視線にも納得出来た……
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