あの日から、ずっと……
 泰知の部屋は、すっきりと片付いていて、シングルのベッドと小さなテーブルの前に大きめのテレビがある……

 泰知はテレビを付けると、背中がベッドに寄りかかるように座った。


 私も、クッションを置き座る……


 ビールの缶の蓋を、プシュッ―と開け、お互い缶を交わしてゴクリと飲んだ。


 「旨い!」

 泰知は満足そうに声を上げた。


 テレビの音のお蔭で、外の風の音もあまり気にならない。


 バラエティー番組を見ながら仕事の話や、他愛も無い話をする…… 

 まるで、十三年の間なんて無かったように自然な空気が流れる。

 安心出来るようでいて、目が合えば、胸の中はドキドキと高鳴る……  

 不思議な感じだ……


 泰知が、ワインのボトルを手にした時……


 バッシっと鈍い音と共に、一瞬で部屋の中が真っ暗になってしまった。


 テレビも消え、雨と風が窓に当たる音だけが響き不気味だ……


 私は、手探りで鞄の中のスマホを探し、ライトを付けようとした手を、まるで止めるように、泰知の手が私の手に重なった。
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