ヒトツバタゴ
それを気持ちいいくらいにキレイに決めていく橘は女性相手には緩めのスパイクを経験者と思われる男性相手には弾き飛んでいってしまうほどのスパイクを打ち込む余裕を見せる
橘がボールに触る度にスタンドから「きゃー」と黄色い声も響く
初めて見るバレーボールをする橘
跳ぶ瞬間に腕を後ろに引いて振り上げる様は水面から飛び立つ白鳥の翼のようにとても綺麗で思わず見惚れてしまっていた
あっという間に2ゲームを連取して初戦を突破すると続く準決勝も難なく勝ち、決勝へと駒を進める
昼休憩を挟んで行われる決勝戦の相手は橘の予想通り、大也のいるマーケティング企画部に決まった
レクリエーションの景品は豪華なのにお昼は仕出しのお弁当かよ…と心の中で文句を垂れながらそのお弁当を持って体育館の外にある木々が立ち並ぶ木陰のベンチに1人で座る
スタンドで食べる人が殆どだったけど、せっかく天気もいいしと外に出てきた
山間のこの地域は昼間でもまだ涼しくて空気も美味しくて気持ちがいい
お弁当の蓋を開けて定番のだし巻き卵を口に運ぶ
…ん?
仕出し弁当かよと侮っていた