ヒトツバタゴ


加納のせいで今年の懇親旅行のバレーボールは遊んでられないな




下りてきたエレベーターに乗り込むと管理部の女性社員も数名ついてきていて、エレベーター内はギュウギュウの寿司詰めになった



ツイテナイな…



1人で管理部に行ったことを後悔しながらも、この後にさつきと行くつもりの展示会のことを思い浮かべながらやり過ごす




ロビーに着いてもさつきの姿はまだなくて、壁に寄って待つも、女性社員達に囲まれたままで、内心ウンザリしているとさつきが目の前を通り過ぎていった



こういう時、さつきは絶対に声を掛けてこない



声を掛けても群がる女性達の反感を買うだけだと知っている




だから用がなくても俺からさつきに声を掛け寄って行くことで抜け出してきた




でも今日は用があるんだよなぁ…いつかさつきから声を掛けてくる日が来ないかななんて淡い期待もなかなか現実とならない





「さつき」



ごめんねとその場を抜け出し、さつきに追い付いて見せつけるように肩を抱き寄せる





本当はずっとこのまま歩きたいけど、怒られる前に放す




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