ヒトツバタゴ


橘の言葉に頷く警察



「こちら証拠としてデータを送っていただけますか?」



橘の携帯を手で指し示す



「監視カメラの解析もしておりますので、映像が確認でき次第、逮捕致します。強姦未遂容疑での逮捕も可能ですが、今まで伏せていたということは公にはしたくないということでしょうから」



やけに気がきく警察ね…と他人事のように感心していると橘が「それで構いません。」と答えていた




データを送り終えると、「ご協力誠にありがとうございます。」と深々と頭を下げ、呼んでくれたタクシーまで見送りまでしてくれた








「どちらまで?」



「Mえ「N駅までお願いします」



橘が自宅の最寄り駅までと言いかけたのを遮り、前に展示会に行ったデパートがある駅名を告げる



呆気に取られている橘をよそにタクシーが走り出す





「買い物付き合ってよ」



真っ直ぐに前を見て言う私に「疲れてない?明日有給とって行ったらいいんじゃない?」と首を傾げる


確かに有給休暇は溜まってる



でも



「負けたくないの。こんな卑怯な嫌がらせに負けたくない。だから例え野宿になろうと休まない。」




< 143 / 178 >

この作品をシェア

pagetop