ヒトツバタゴ
チェックインは済んでいるらしく、ホテルのフロントを通り抜け、ホテル内のエレベーターに乗り換える
「でもここって高いんじゃ…」
駅からちょっと離れればもっと安いとこもあるはず
さすがに家が決まるまでここで泊まるのには不安が…
「さつきは気にしなくていいよ。俺が勝手に決めたんだから俺が払う」
断固として譲らない時の笑顔を見せてさらに驚きの言葉を続ける
「明日、仕事終わったら新しい部屋の下見に行くから定時で終わらせろよ?」
「え?」
新しい部屋の下見まで決めてきたの?
あまりに早い展開に唖然として固まってしまった
「澄子さんが会社の近くのマンションなら空いてるって教えてくれたから、一度見せてもらうことにした」
「澄子さん??」
聞き覚えのない名前に首を傾げる
これが漫画なら私の頭の上には?マークが所狭しと並んでいることだろう
エレベーターを降りて歩きながら続ける
「さつきのとこの大家さん」
へぇ…大家さんて澄子さんて名前なのね
「なんで橘が知ってるのよ」