ヒトツバタゴ


いつの間にか眠ってしまったらしく、気が付くとベッドの上に横たわっていた




すっかり日も暮れて、薄暗い室内で体を起こす



一つだけ灯るスタンドライトの元で一人掛けのソファで橘が肘掛に乗せた腕で頬杖をつき、眠っている






やっぱり夢じゃないのよね




部屋が燃えてしまったことも…




橘と想いが通じ合ったことも…





サイドテーブルの時計を確認すると、そんなに長時間寝ていたわけではなくて、時刻は20時を表示していた





そっとベッドから下りて、先程買ったばかりの部屋着と下着の入った袋と旅行に持っていった鞄から基礎化粧品を持って脱衣所に入る




洗面台の上に手に持っていたものを置いて、着ていた服を脱ぐ






ぬるめのシャワーを頭から被る




目を瞑っていると思い出す



昨日からなんだか濃い二日間だった





でもさっき橘の胸の中で泣いたおかげで、心の中はスッキリしている





大丈夫




またいつものように笑って過ごしていける





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