ヒトツバタゴ


綺麗に並んだ饅頭や大福、水菓子に思わず頬も緩む



上下の階と左右のお隣の4軒分よね




どれも美味しそうで悩んでしまう




饅頭と大福も捨てがたいけど、ここは色とりどりに光る水菓子にしよう




心の中で結論をだして、店員さんに注文する




あっ!そうだ!


杏さんの所にも挨拶に行かなきゃ



注文した水菓子を詰め合わせている店員さんにもうひとつ追加でと声をかける







橘から受け取った真新しい鍵を鍵穴に差し込み回す





開けた扉の中は当然だけど、まだ何もなくてがらんとしている




玄関にあるブレーカーを下ろし、電気をつける



殺風景な部屋に大学入学前に前の部屋に入居した日の不安感を思い出す




地元から遠く離れた地で一人、人付き合いが得意ではない私が上手くやっていけるのか…と



蓋を開けてみたら橘も大也もいたわけだけど




今日からは橘と二人



不安なんて感じる必要がない





橘といるのは楽だ




ドキドキするのはまだ慣れないけれど、素の私を受け入れてもらえてるのがわかるから





< 155 / 178 >

この作品をシェア

pagetop