ヒトツバタゴ


段ボールを運び終わると、ベッドはまだ残っているけど玄関までは通れるようになった



ベッドは重いわよね…




廊下を半分塞ぐ大きなベッドを眺めていると、橘がキッチンのカウンターに置いたお菓子の袋を手に持った




「先に挨拶行こうか。ベッドは重そうだから、後で大也に手伝わせよう」



ニッコリと笑う橘に頷いて、玄関に向かう








両隣と上下の部屋の住人に挨拶を済ませ、杏さんと大也の部屋に移動する




インターホンを押すと出てきたのは果奈ちゃんを抱いた大也




「お疲れ。どうしたの?まぁ上がれよ」



促されるままに上がると、当然だけど、私達の部屋と同じ間取り



でも入居したばっかの部屋とは違い、生活感もあり雰囲気も違う




キッチンで夕飯の支度をしている杏さんに「こんばんは」と挨拶をすると笑顔で「いらっしゃい」と返された




4人掛けのダイニングテーブルに大也の向いに橘と並んで座ると杏さんがお茶を出してくれ、そのまま大也の横に座った




事情を全て説明すると唖然としている大也



「大変だったけど、良かったわね」と杏さんは微笑む




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