ヒトツバタゴ
「さつき」
心地良い声が私の名を呼ぶ
いつもより緊張してる?
顔を上げて見遣ると、見慣れた微笑み
「長いこと友達やってたから、こんなこと言うのも、言われるのも照れくさいと思うけど…」
私の左手を持ったまま、困ったように照れ笑いを見せ、続きの言葉を口にする
「結婚しよう」
本当、友達の期間が長すぎて照れくさい
恋人になってまだ2ヶ月
でも、胸の奥でぎゅうっとなる私の体は知っている
この先ずっと…
橘しかいらない
「うん」
橘と同じように照れ笑いを隠さずに頷いた
安堵した橘と目が合い、笑い合う
いつだって私の隣にいた橘
この先もずっと