ヒトツバタゴ
中学の時に憧れてた先輩から告白されて初めて彼氏ができた時も傷跡を見られて幻滅されるのが怖くてキス以上には進めなかった
というか体を求めてきた先輩を拒否してしまい、結局気まづくなって別れてしまった
大学卒業くらいまでそんなふうに付き合ってはキス以上に進む勇気が湧かず、別れを繰り返し、大学を卒業する頃にはそんなことにも疲れ果て恋愛をすることすら諦めた
「何無視してんのー?」
もう1人の男に左腕を掴まれる
道行く人はみんな見ないフリをして誰も助けてる人なんていない
薄情な世の中だこと
「あんた達みたいなの相手にする程男に困ってないわよ!離してっ」
腕を思いっ切り振って男の手を振り払った拍子にバランスを崩してフラついた
ドンッと通りがかった人にぶつかるとその人は私の肩を抱く
「さつき?探したよ。待ち合わせ場所間違えてたんだね」
掛けられた声に顔を上げると前に仕事で会った取引先の人だった
名刺交換はしたけど、よく下の名前も覚えてるな…
さっきのセリフからして助けてくれるらしいので話を合わせる
「え?ごめん、こっちだと思ってた」
「腹減ったから早く行こ」
そう言って私の肩を抱いたまますぐ近くにあった居酒屋へと進む
後ろでチンピラ2人が「なんだよ待ち合わせかよ!」と言っているのが聞こえた